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令和6年の新春を迎えて 大石理事長ご挨拶(2024年1月)
理事長
はじめに令和6年能登半島地震により被災された皆様,関係の皆様に心よりお見舞い申し上げます。また,電力復旧作業にあたられているすべての方に敬意を表するとともに安全に全うされることを願っております。

経済産業省,関係省庁の皆様,また,電力送配電各社を始め、関係の皆様方には,日頃よりご指導ご鞭撻を賜り,深く感謝申し上げます。

また,会員の皆様には,当研究会の諸活動にご理解ご協力頂き,厚く御礼申し上げます。

昨年を振り返りますと,令和2年から実に3年に及んだ新型コロナウイルス感染症が2類から5類に引き下げられ,工事現場を抱える私共にとっては何よりの安心材料になったかと存じます。同時に対面,Webを併用した会議など,効率的な業務運営も定着した感があるのではないでしょうか。長引く紛争など世界情勢も影響し,工事資材はもとより,日常生活品の品々の値上がりは続いており,材料手配等,気苦労も絶えない状況かと思います。このような状況下においても,自然災害に対する備え,設備被害の復旧・支援など,エッセンシャルワーカーとしてのご活躍,本当にお疲れ様でした。心より敬意を表します。

昨年は,「登録送電線工事基幹技能者制度」(国土交通大臣認定)がスタートした年でもありました。技能者の公的資格に送電線工事が認められ,めでたく92名の基幹技能者が誕生しました。その熟達した作業能力・豊富な知識を存分に発揮され益々ご活躍されることを期待しております。関係各社・個々人がその使命に共感し,目標に向かって自ら参加・研鑽するモチベーションに繋がればうれしく思います。

さて,昨年4月の託送料金改定に伴い,レベニューキャップ制度がスタートし,国レベルのプロジェクト,高経年化設備の更新,再エネ連系等の拡充工事などが5カ年計画に織り込まれ,送電線工事量も高い水準で推移していくものと想定されます。電力各社には,早期に情報開示いただき大変ありがたく存じます。
 これら工事を安全に良い出来映えで完成させることが我々の使命です。管理技術員を始め,高所作業員,基礎作業員,更には大型資機材など,必要な施工力の確保とともに機械化・省力化などアイディアを出し合い生産性を高める施策を具体化していくことが重要と考えております。

 何より安全確保が最優先課題になります。重大災害によって尊い命が奪われている現状はまさに痛恨の極みであります。重大災害撲滅に向けて,過去の教訓に学び,新しい考え方も取り入れながら,安全に丁寧に一人一人が安全作業に集中できるよう,常に現場環境を見直していかなければなりません。作業支援,疲労軽減策,熱中症対策など知恵を絞り,好事例をどんどん共有していきましょう。
 
 今年4月からの時間外上限規制も目前に迫りました。電力各社のご協力のもと,全国一斉休日,4週8休などの休日取得やDX推進に各社取り組んでいますが,一層の工夫が必要なことは言うまでもありません。個社における実績管理や環境改善が基本となるものの,限られた施工力の中で対処せざるを得ない問題でもあります。無理のない工程実現のため,平準化や着工日確保に配慮し,状況によっては柔軟な工期の緩和など,送研として会員各社や関係機関等と連携し,電力各社と対話を続けて参ります。

 厳しい環境の中でも5ヵ年計画を着実にやり遂げることが共通目標です。様々なリスクをできるだけ早い段階で認識し,回避行動を取りつつ,一方で次世代の人財の確保や育成に業界一丸となって注力しなくてはなりません。基幹送電線などの建設技術は簡単に身に付くものではなく,経験者の貴重な体験は時間を作ってでも後進に伝えていかなければなりません。国が目指す脱炭素社会に向けた新たなネットワークづくりや国土強靭化を支える一員として,送電業界特有の「技術・技能」を「質・量」ともに次世代に継承していくことは重要な使命と考えます。今年も多くの諸課題について,気持ちを新たに取り組む所存でありますので。引き続きご協力ご支援をお願いいたします。ご家族様やお仲間を含めまして,素晴らしい1年となりますよう皆様方のご活躍ご多幸を祈念いたします。

一般社団法人 送電線建設技術研究会 理事長 大石 祐司

事業目的
当会は、中立的な研究機関として、学識経験者、専門技術者の参加、協力のもとに、送電線建設技術の諸問題について調査研究し、技術の向上及び工事の改善を推進することにより送電線工事業の健全な発展を図り、電力の安定供給と国民生活の向上に寄与することを目的とし、工事会社、メーカー等を会員として本部を東京に置き、全国に9支部を設け全国規模の活動とともに、地域ごとの事業活動にも力を注いでおります。
事業内容
送電線建設技術の総合的研究
送電線工事の改善及び工事力確保に関する調査研究
送電線工事業の合理化に関する調査研究
送電線工事に係わる災害防止及び安全確保に関する調査研究
電気事業者及び工事業者間における送電線工事の効率化に関する調査研究
送電線工事に係わる地域住民との協調並びに環境保全に関する調査研究
上記の調査研究成果の推進及び普及
送電線工事に関する技術、技能の研修並びに送電線工事従事者の資格認定
官公庁その他関係機関に対する要望建議及びその諮問に対する答申
その他本会の目的達成に必要な事業
組織図
組織図
沿革
昭和24年5月工事技術の向上と企業の発展を目的とした共同の調査研究機関として、普通会員22社による送電線建設技術研究会が任意団体として発足
昭和27年5月東北、中部、関西、中国、九州各支部が発足(昭和33年関東、昭和34年北海道、昭和36年四国、昭和38年北陸、各支部発足)
昭和32年4月任意団体から、社団法人送電線建設技術研究会に改組(普通会員37社、賛助会員14社)
昭和44年~工事力の増強をめざして、委員会及び専門委員会態勢を整備し業界の総力をあげて調査研究活動を推進
昭和55年~教育と安全に注力し、教育用教材と現場代理人資格認定制度の整備を推進、キーロック方式安全ロープの研究に着手
昭和61年~100万V送電線計画に対応し、UHV工法専門委員会を設置、設備の大型化に伴う機械工具及び工法の開発を重点的に推進
平成6年~電力自由化など大きな変革に対応し、送電線工事のより一層の効率化・合理化を図る様々な取り組みを展開
平成14年~急激な工事量減少に対応した送研運営の改革の推進、工事量平準化、技術技能の継承など送電線工事を取り巻く諸課題への取り組みを推進
平成22年12月公益法人制度改革に対応し、内閣府の認可を受け、一般社団法人へ移行
平成27年~送電線工事の担い手不足に対応し、社会認知度向上方策の取組みを推進(全国大のリクルート誌を出版、送電技能士創設の検討着手等)
統計基礎調査を充実(高所作業員の稼働実態調査を開始)
災害防止活動の取組みを強化(電力を含めた送電標準仕様のハーネス型墜落制止用器具の検討に着手、安全委員会の再設置等)
令和元年5月創立70周年を迎える(普通会員108社、維持会員40社、賛助会員11社)

送電線建設技術研究会「60年の軌跡」【PDF】
創立70周年記念誌「送電業界のあゆみ-平成から令和へと受け継がれる力-」【PDF】
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